【教えて!ドクター】医師監修卵子凍結Q&A

「Q&A」と書かれた積み木を持つ手の写真。ミントグリーンの背景に「【教えて!ドクター】医師監修卵子凍結Q&A」「【医師監修記事】」というテキストが配置されており、卵子凍結に関する疑問や質問に医師が答える記事のアイキャッチ画像です。 egg-freezing/卵子凍結

記事監修 杉山産婦人科 新宿 院長 中川浩次先生

杉山産婦人科 新宿 院長 中川浩次先生

自治医科大学卒業。郷里の徳島県で産婦人科医としてキャリアを
スタートし、 2008年より「杉山産婦人科」に勤務。
2018年に新設された「杉山産婦人科 新 宿」院長に就任。
生殖医療業界28年の経験をもとに、難治性着床不全の方、
治療に免疫抑制剤を使用したい方など、なかなか妊娠しない方の
治療にも力を注ぐ。

医師監修卵子凍結Q&A

「本当に希望通りに産めるもの?」「自然妊娠との違いは?」「費用はどれくらい?」など、
卵子の凍結保存とその後の妊活に関わる疑問にお答えします。

Q
一度の採卵で何個まで凍結保存できる?
A

採卵できた卵子の数と予算によります

採取できた成熟卵子の数と、ご予算次第です。
当院の場合、卵子が3個まで入るケース1本を1年保存するのにかかる費用は3万円になります。

Q
流産のリスクやトラブルは?
A

自然妊娠のときと同様妊娠時の年齢や体質次第です

凍結した卵子を使用したからといって、自然妊娠と大きな違いが
起こるわけではありません。
妊娠した年齢が高いほど、妊娠中のマイナートラブルや妊娠高血圧症候群のリスクは高くなります。

Q
凍結保存する卵子の数は何個くらいが理想的?
A

多いほど妊娠率が上がりますが年齢が高くなるほど質のいい卵子が取れにくくなります

下のデータは凍結した卵子の数と、その個数での妊娠・出産に至る確率を年齢ごとに
表したもの。
平均28歳までに凍結保存を行った場合、保存した卵子の数が10個でも80%の方が
子どもを授かっています。
しかし、同じ10個でも37歳に採取した卵子では53%、40歳では30%です。
年齢が上がるほど多くの卵子を保存しておくことが好ましいのですが、
凍結保存に適した質の良い卵子は年齢に比例して少なくなっていきます。
より高い確率で子どもを授かるためには、できるだけ若い時期により多くの卵子を凍結保存しておくことが理想的です。

採卵数と年齢別出産率(1名換算)

10個20個30個40個
ドナー卵子
(平均28歳)
80%94%
34歳75%91%95%
37歳53%75%87%92%
40歳30%52%65%76%
42歳21%36%49%60%
44歳7%15%21%26%

出典:Human Reproduction vol.32,No.4, 2017, p853-859

Q
凍結保存した卵子は何年くらい持つ?
A

医学技術的には半永久的に可能

タンクの中で保存したままの状態であれば、ずっと維持できます。
ただし、保存期間に年齢制限があるので、いつまでも保存しておけるわけではありません。卵子を凍結保存しただけで満足するのではなく、「何歳までにパートナーを見つけて産む」という計画を立てたり行動を起こしたりすることを心がけましょう。

Q
自然妊娠で生まれる子どもとの違いはある?
A

ありません


Q
卵子の凍結保存にかかる費用はどのくらい?
A

すべて自費の場合は25~35万円前後

表に記載されている金額はあくまで平均値。
「診察・ホルモン値検査」「排卵誘発」の費用については個人差があります。
1本の凍結容器に保存できる卵子の数は3個まで。保存費用は1年につき3万円で、
毎年更新が必要です。
加えて、採卵時に麻酔を使用する場合は表の合計金額とは別に費用がかかります(局所麻酔:2万円、静脈麻酔:5万円)。

【参考】 杉山産婦人科の費用一覧

項 目初 回2回目以降
診察・ホルモン検査約3万円約3万円
排卵誘発約5〜10万円約5〜10万円
採卵(麻酔は別途)12万円10万円
卵子採取まで約20〜25万円約18〜23万円
卵子冷凍保存
(1年/1本)
3万円
(4本目から無料)
3万円
(4本目から無料)
合計(費用概算)約23〜33万円約21〜31万円

※上記の費用はすべて税抜き表記です。※費用は予告なく変更する場合があります。

Check!

上の表は卵子凍結までにかかる金額。将来、凍結卵子を使用する場合は、卵子融解、顕微授精、
胚移植などの費用(約30万円~)が必要となります。

卵子凍結にかかる費用の助成金制度にも注目!

2015年に未授精卵子の凍結保存への支援を開始した千葉県浦安市の取り組みを皮切りに、
現在では複数の自治体で卵子の凍結保存と、凍結保存した卵子を用いた顕微授精への
助成が行われています。
金額や条件は自治体ごとに異なりますが、東京都の場合は1人あたり
最大20万円(卵子の凍結保存の場合)。
制度の実施の有無や、申し込みなどの詳細については自治体のホームページでご確認ください。

Q
凍結した卵子は一度に何個使えるの?
A

希望した数だけ受精させることができます

受精させる個数は、ご自身で決められます。
受精させる卵子の数が1個でも10個でも金額は同じなので、1回で行ってしまったほうが
費用は安く抑えられます。
移植に使用しない受精卵は、再び凍結保存することが可能です。
ただし一旦受精させると、“そのパートナーの方と2人の受精卵”になってしまうので、離婚や死別した場合は倫理上の理由で廃棄になります。

Q
卵子の凍結保存と不妊治療時の受精卵の凍結保存は何が違うの?
A

細胞分裂が始まっている受精卵のほうが圧倒的に生存率が高いです

採卵で取り出した受精する前の卵子と比べ、精子を受け入れた受精卵は、いわばひとつの
生命体のようなもの。
細胞が分裂と増殖を繰り返し、一つひとつの細胞が細かくなっているため、
卵子よりも凍結保存がしやすいといわれています。

Q
精子の凍結もできるって本当?
A

可能ですが将来への備えを目的に保存するものではありません

精子は3~4カ月周期で新しいものが作られるうえ、年齢で質が変わることもないからです。
それでも凍結保存を利用されるのは、「不妊治療で精子が必要なときにタイミングが合わない」というカップル。
「出張でどうしても採卵に立ち会えない」「単身赴任で長期間帰れない」といった場合に、
やむなく利用するという感じです。
ただ、凍結すると動いている精子の割合が少なくなってしまうため、顕微受精で治療を行うケースが多いです。

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