【教えて!ドクター】卵子凍結のスケジュール

赤いフレームの眼鏡をかけた笑顔の女性が白いシャツを着て、眼鏡に手を添えているポートレート写真。右側には「【教えて!ドクター】卵子凍結のスケジュール【医師監修記事】」というタイトルが配置されており、卵子凍結の流れについて医師の専門的なアドバイスを提供する記事のアイキャッチ画像です。 egg-freezing/卵子凍結

記事監修 杉山産婦人科 新宿 院長 中川浩次先生

杉山産婦人科 新宿 院長 中川浩次先生

自治医科大学卒業。郷里の徳島県で産婦人科医としてキャリアを
スタートし、 2008年より「杉山産婦人科」に勤務。
2018年に新設された「杉山産婦人科 新 宿」院長に就任。
生殖医療業界28年の経験をもとに、難治性着床不全の方、
治療に免疫抑制剤を使用したい方など、なかなか妊娠しない方の
治療にも力を注ぐ。

卵子を凍結保存するまでの流れ

基本的なプロセスは、不妊治療で体外受精を行うときの処置とほぼ同じです。
重要なのは、採卵時にできるだけ多くの卵子を採取すること。
そのための準備と、処置の流れをわかりやすく説明します。

  • クリニックで 行うこと
  • 自宅で 行うこと
生理開始日から準備スタート!
卵子の凍結保存を行うまでのスケジュール
  • DAY2~DAY4
    1回目の診察(生理開始から2~4日目に来院)
    • AMHの数値、月経周期が正常であるか、婦人科系の病気の有無などをチェック
    • 問題がなければ、自宅での排卵誘発を始める
    • 何かしらの問題がある場合は、この周期の採卵は中止
  • DAY9~DAY10
    2回目の診察(生理開始から9~10日目に来院)
    • 卵胞が順調に育っているか診察
    • 状況により、その後の注射の回数を調整
  • DAY11~DAY13
    採卵・凍結(生理開始から11~13日目が目安)

    • 当日は禁飲食で来院(静脈麻酔を使用する場合は、前日の24時以降から飲食できません)
    • 採卵にかかる時間は10分程度
    • 採卵後はしっかり体を休める
卵子の凍結保存を行うまでのスケジュール
  • DAY1
    クリニックの予約を取る
  • DAY2~DAY6
    注射・内服薬で排卵誘発を行う(生理開始から2~6日目まで)

    排卵誘発剤の注射を自分で打つ(内服薬を使用するケースもあり)

  • DAY9
    点鼻スプレーを使用

    採卵2日前の夜(22時ごろ)に使用し、卵胞を成熟させる

  • DAY13~
    採卵後

    数日間は痛みや副作用が残る場合も。落ち着くまでは安静に過ごす

採卵時に起こりうる副作用

卵巣の腫れや身体のむくみ

まれに排卵誘発剤が効きすぎてしまったときに起こります。
腹痛や腹部膨満感が続く場合は、数日間の自宅安静が必要です。

採卵による痛みや出血

卵巣に針を刺すため、鈍い痛みが続くことがあります。
基本的には心配ありませんが、出血量が多く、感染症の心配がある場合は数日間の入院が必要となる場合があります。

採卵日当日のスケジュール一例

採卵日当日のスケジュール一例
  • 7:30
    来院
  • 8:00
    麻酔・採卵開始
  • 8:15
    採卵終了
    経過観察、休憩
    麻酔が抜けたら帰宅

※局所麻酔の場合 9:30ごろ
※静脈麻酔の場合 11:00ごろ

使用する麻酔の種類と違い

[ 局所麻酔 ]

針が細い注射器を使用して、膣壁に直接麻酔を打ちます。
静脈麻酔のように意識がなくなるわけではありませんが、効果的な場所を探して打つため痛みを軽減できます。

[ 静脈麻酔 ]

採取する卵子が多い、卵巣の位置が悪く強い痛みが予想される、過度の緊張が気になるといった場合に
用いられます。
安全の都合上、当日はメイク、ネイル(スカルプやジェルネイル含む)を落としていただく必要があります。
また採卵後の車の運転は不可能です。

卵子の凍結保存を行うまでの具体的なプロセス

生理が始まったら事前検査を行う

AMH検査、月経周期が正常か、婦人科系の病気の有無などを調べます。
このとき「AMHの数値やホルモン値が低い」「採卵時に邪魔になる場所に子宮筋腫がある」
「卵巣腫瘍などの病気が見つかった」という場合は、この周期での採卵を中止することもあります。

Q
なぜ生理開始日から準備を始めるの?
A

排卵日が生理の開始日を元に予測されるから。
採卵は、卵子成熟する排卵日の直前に行われます。
たとえば月経周期が28日の場合の排卵日は、月経開始から14日前後が目安です。

卵巣刺激を行い複数の卵子を成熟させる

排卵で回収される卵子にはいくつか種類がありますが、凍結保存が可能なのは受精できる状態の
「成熟卵子」のみ。
通常、自然に排卵される卵子は成熟卵子ですが、その数は月に1個だけ。
そのため「排卵誘発剤」を用いて一度の採卵で少しでも多くの成熟卵子を採取するための準備を行います。

排卵される卵子の種類

卵子の状態は基本的に年齢によって左右されますが、実際の様子は採卵してみないとわからないのが
現状です。
凍結保存に適した成熟卵子だけでなく、未成熟卵子や変性卵子が混ざることもあります。

凍結保存が可能 [ 成熟卵子 ]

[ 成熟卵子 ]

十分に成熟し、 精子を受け入れる状態が整った卵子。
35歳未満の方は、採卵した卵子の約90%が成熟卵子であると予想されます。

凍結保存できない [ 未成熟卵子 ][ 変性卵子 ]

[ 未成熟卵子 ]

十分に成熟しきれておらず、 受精能力を持たない卵子。
採卵した卵子の10~15%程度の割合で混ざることが多いです。


[ 変性卵子 ]

何らかの理由で細胞が変性し、受精する力がない卵子。
通常は採卵した卵子の5%以下ですが、38歳を超えるとその割合は増加します。

点鼻スプレーで卵子の成熟と排卵を促す

検査で卵胞の大きさとホルモン値を測定。
卵の成熟度を確認して採卵日を決めます。採卵日の2日前には成熟した卵子の排卵を促す、点鼻スプレーを使用。
その後、34~36時間以内(排卵が起こる前)に卵子を採取します。

超音波器械を使って採卵を行う

最初に経腟超音波検査を行い、排卵していないことを確認。排卵が終わってしまった場合は中止となります。
問題がなければ左右両方の卵巣から採卵を実施。痛みを軽減するため麻酔をかけたら、膣から超音波器械(プローブ)を挿入。
超音波画像を見ながら卵巣の中の卵胞(卵子の入った袋)に採卵針(採卵専用の針)を刺し、卵胞液とともに卵子を吸引・採取します。

採取した卵子を凍結保存する

採取した卵子を検卵し、成熟卵子のみを凍結保存します。
現在、多くのクリニックで用いられているのは、「ガラス化法」という細胞凍結技術。
高濃度の凍結抑制剤を利用し、細胞内の水分を除去したのちに非常に短い時間で凍結させるという方法です。
-196度の超低温状態でも固体と液体の中間状態を保ちながら凍結できるため、凍結融解後の卵子の生存率が高いと評価されています。

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