佐々木あさひさんSpecial interview

佐々木あさひさんのスペシャルインタビュー画像。白いノースリーブのトップスを着た女性が優しく微笑み、背景には緑の観葉植物が配置されています。右側には「Special interview」と「Asahi Sasaki」の文字が入ったシンプルでエレガントなデザインです。 妊活ガイド

美容系動画クリエイターのパイオニアとして、
多くのフォロワーから支持を得ている佐々木あさひさん。
2022年10月に自身のYouTubeチャンネルで妊娠を報告、翌年1月に第一子を出産されました。
あさひさんに、妊娠報告に至るまでの不妊治療について振り返ってもらいました。

取材・文:山本美砂

「私たちのところへ来てくれてありがとう!」

命の誕生という奇跡のための遠回りは、私自身が成長することのできた貴重な時間でした

説明文

profile

美容系動画クリエイターの第一人者として幅広い支持を集め、
コスメやスキンケアアイテムなどの丁寧レビューが好評。
また美容に限らず日常のライフスタイルを等身大で発信し、ジャンルを問わず活躍している。
2023年1月に第一子を出産。不妊治療、妊娠、出産、育児についても精力的に発信し、
新米ママとしても女性の共感を得ている。


検査でAMH値が低いとわかり不妊治療クリニックを受診

「授かりたかったら一秒でも早く不妊治療クリニックへ行きなさい」
軽い気持ちで受診した女医さんの紹介で不妊治療クリニックへ

「実は母親になることが怖くて怖くてしかたなかったんです。私なんかが母親になっていいのかなって」
という佐々木あさひさん。


そんなあさひさんが妊活をはじ めようと思ったきっかけは、「彼といっしょに子育てしていきたい」という気持ちが芽生えてきたときでした。
ある日、パートナーにそのことを告げると、彼の中でもすでに心の準備ができているという返事が。
それを知って、「前に進もう!」と 決意したそうです。


「子宮後屈ではありましたけど、生理のサイクルは正常で、トラブルも特にはな かったので、
最初は自己流のタイミング法で妊活をスタートしました。基礎体温 をつけるだけでなく、排卵日がわかるアプリを使ったり、排卵日予測検査薬も使用してみたりしました」
しかし、半年経っても授かることができませんでした。

そんなある日、自宅の近所にレディースクリニックが開業。
「風しんの抗体検査やエコー検査をしてもらおう」と軽い気持ちで受診したそうです。

すると、エコー検査で授かりにくいということがわかり、数日後、改めて検査結果を聞きに訪れると、
AMH(アンチミューラリアホルモン)値が低く、50歳ごろの閉経寸前の卵巣状態だと告げられました。
AMH値は、卵巣に成長途中の卵子がどれだけあるかを示すもので、
AMH値が低いということは卵子の数が少なくなってきていることを示します。

「お母さんのお腹のなかにいる段階から、その人の一生分の卵子の数は決まってい るそうです。自分でどうこうできることではなくて生まれたときからの運命、自分の個性だと知ったので、それほど凹むことはありませんでした。

ただ、そのレディースクリニックの女医さんが『授かりたかったら一秒でも早く不妊治療クリニックへ行った方がいい』とはっきりおっしゃって、紹介状まで書いてくださったんです」

培養した胚盤胞。「命の誕生の瞬間に
立ち会えていることに感動しました」とあさひさん。
佐々木あさひさんの妊活HISTORY
  • 2021年6月
    37歳

    事実婚のパートナーと妊活を開始。
    基礎体温測定や葉酸サプリの摂取、排卵日予測検査薬の使用など、自分でできることをひとつ
    ひとつ実行。

  • 2021年12月
    37歳

    風しんの抗体検査のためレディースクリニックを受診。妊娠しにくい体質であることを知り、
    すぐに不妊治療を開始。同時に、東洋医学でできることもあると考え、不妊鍼灸院へ通院。
    心のケアもより意識するようになる。

  • 2022年10月
    38歳

    第一子の妊娠を発表。

  • 2023年1月
    38歳

    男の子を出産。

より確率の高い顕微授精を選択し新鮮胚移植から凍結融解胚移植へ

AMH値の低さ、左側の卵管の閉鎖……。
さまざまな要素が積み重なって不妊につながっていたことがわかりました

翌週には、パートナーといっしょに不妊治療クリニックを受診。「どのクリニックを受診しようかと悩む必要もなく、ポンポンとテンポよくステップアップできたので、とてもありがたかったです。しかも、紹介していただいたクリニックが、都内でも有数の最新技術を備えたクリニックだったので安心でした」


パートナーは、フーナーテストで精子の状態を調べてもらったところ問題なしとの結果。一方、あさひさんは、FSH(卵胞刺激ホルモン)がとても高いことが判明。さらに子宮内視鏡で子宮内膜の状態を検査したところ、左側の卵管が閉鎖している、つまり片方しか機能していないことがわかりました。


「2022年の4月から不妊治療が保険適用となりましたが、私たちが不妊治療クリニックを受診したのはたまたまその前のタイミングでした。だから、事実婚も対象となる助成金制度が利用できたんです。そのことも、すぐに不妊治療に踏み切るきっかけとなったと思います」二人とも不妊治療を長く続けるつもりはなかったので、体外受精より少し費用が高いけれど、より確率の高い顕微授精を選んだそうです。


「AMH値が低いという理由から、ホルモン剤を使っても多くは採卵できないだろうといわれて、自然周期での新鮮胚移植をはじめました。毎月自然に一つ排卵される卵子を採卵して、それを受精させ、8細胞くらいに分裂したものをお腹の中に戻すんです。排卵日のタイミングに合わせなければならないので、排卵日前はこまめに通院する必要がありました。


最初に採卵した卵子はうまく受精してくれましたが、着床しませんでした。2回目は、採卵のためにクリニックを訪れたときすでに排卵してしまっていて採卵できず、3回目に採卵した卵子も受精したものの、着床しませんでした。そこで、次に凍結融解胚移植をすることにしました」

妊活中の愛用グッズ
冷え対策に、5本指のシルクインナーソックスを愛用。
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不妊治療を通して一層強くなったパートナーとの絆

受精卵が分裂している様子を見たとき、
『命の誕生の瞬間に立ち会えているんだ!』と感動しました

凍結融解胚移植は、分割期胚または胚盤胞まで培養した胚を凍結保存し、採卵した周期の次の周期以降の着床しやすい時期に胚を融解して子宮内に移植する方法です。
「内服薬を飲むだけでなく、排卵誘発剤 の自己注射など、自分でやらなければならないことが増えたのが負担ではありましたね」その結果、一度の処置で2つの卵子を採卵、どちらも顕微授精ののち培養して凍結、ホルモン補充などによって子宮環境を整えて、グレードの高いほうがお腹に戻されました。


このとき、子宮への着床率を高めるために、受精卵の膜を薄くする「アシステッ ド・ハッチング」という方法も取り入れたそうです。「受精卵が分裂している様子を見せていただいたとき、『命の誕生の瞬間に立ち会えているんだ!』と、とても感動しました。 これは不妊治療を体験しなければ得られなかったことだと思います」


また、不妊治療を受けることでパートナーとの絆が一層強くなったというあさひさん。「不妊治療を続けるのは1年間と決めていました。それもあって、1回1回に本気で取り組んでいましたし、採卵は痛みを伴うので『つらいのにまた着床しなかった……』と、落ち込みました。そんなとき彼は『よし、今月は温泉に行こう』と提案してくれたり、私へのご褒美を毎回用意してくれたんです。それに励まされて、『よし、もう1回挑戦しよう!』という気持ちになれました。その頃の彼の言葉のいくつかは、今でも大切に心にとどめています」


「妊活はメンタル戦だ」と、あさひさんはいいます。「不安になるような落とし穴があちこちにあるんです。私の場合は、妊活をはじめる前から月に1回心理カウンセリングを受けていて、不妊治療中も通っていました。それもよかったと思います。他にも、好きな香りに包まれて深呼吸をするとか、一日に一度はホッとできる、心のスイッチをOFFにできる時間をもつようにしていました。自分のためにイイことをしているなって感じられる時間を、意識してつくることも大切だと思います」

  • 完全自然周期での新鮮胚移植の流れ
  • ホルモン充填での凍結融解胚移植の流れ
完全自然周期での新鮮胚移植の流れ
  • 生理後
    血液検査、エコー

    卵胞の成長具合を調べる

  • 採卵日前
    点鼻薬、内服薬

    採卵日までに卵子をよい状態にする

  • 採卵日
    座薬による鎮痛剤を投与後、採卵

    当日、精子を持参膣から針を刺して卵を採る

  • 病院からの連絡
    受精卵ができたか、連絡がくる
  • 移植日
    術後、黄体ホルモン注射

    黄体ホルモン補充(内服薬。子宮内膜を厚くして着床しやすくするために、飲んでいたような記憶あり)

  • 妊娠判定日
    血液検査
ホルモン充填での凍結融解胚移植の流れ
  • 生理中
    血液検査、排卵誘発剤

    内服薬、自己注射で卵子を育てる

  • 採卵日前
    点鼻薬、内服薬

    採卵日までに卵子をよい状態にする

  • 採卵日
    私の場合は局所麻酔を追加して採卵

    当日、精子を持参膣から針を刺して卵を採る

  • 1か月休み
    受精卵有無の連絡、胚盤胞凍結
  • 生理後
    ホルモン補充(内服薬、貼り剤、膣剤)

    子宮内膜を厚くして着床しやすくする

  • 移植日
    アシステッド・ハッチング

    ホルモン補充(内服薬、貼り剤、膣剤)

  • 妊娠判定日
    血液検査

    その後、妊娠9週までホルモン補充

妊活はメンタル戦。不安になる落とし穴があちこちにあるので、
一日に一度はホッとする時間をつくっていました

妊活中の愛用グッズ
説明文

佐々木あさひさんの授かりポイント

乳歯が生えてきた息子さんとのファミリーフォト。

1.呪いのような思い込みを手放す

「お母さんにならなければならない」という強烈な思い込みに長い間苦しめられてきました。
母親にならないという選択肢もあるのに、生きてきた過程で身についてしまった「女はこうあるもの」というマインドセットに縛られていたように思います。

そういった呪いのような「こうあるべき」という思い込みを見つけては書き出すことを習慣づけていると、自然と手放すことができ、本来の自分自身の想いに気づくことができました。
とても深いところにある思い込みに気づけたとき、息子が来てくれました。

2.不妊治療のステップをクリアするたびにご褒美をつくる

採卵がうまくいった日にはパートナーがケーキを買ってきてくれたり、移植までいけた日はおいしい食事をごちそうしてくれました。
妊娠判定が陰性だったときにも「今できることをたくさんしよう」と、二人の大好きな温泉へ。
つらい治療や悲しい結果の先にも、多くの楽しみを散りばめていたことで前向きでいられた気がします。

3.妊活はメンタル戦だと気づく

身体の調子を整えることはもちろん大切ですが、それ以上に大切なのが心です。
妊活は一喜一憂することがあり過ぎるので、心が健康でないと一瞬にして落とし穴にはまります。
呪いのような思い込みを手放すことと並行して、自分を丁寧に扱ってあげる時間を意識的につくることも大切だと思います。
私の場合は、好きな香りに包まれて愛猫を愛でている時間が一番の自愛TIMEでした!

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